衣装箱開発秘話
二 着物の収納方法をアップデート!
私たちは桐箱店。
着物のことは殆ど無知な状態。着物のことはプロに聞こう!ということで、森本さんに相談したところ、いつでもきていいよと快くお返事頂き、早速、お店に訪問させて頂きました。
従来の衣装箱を持って行って、まずは桐の衣装箱を見てもらい、新しい衣装箱を開発に至った経緯を相談。
早速、着物をお借りし、箱に入れて運んでみたり、着物を箱から取り出してみたり実験した結果・・・
やっぱり「重い!」これに尽きます。従来品は5着以上入るものですが持ち運ぶのは大変そうです。
私たちは森本さんと徹底的に話し合いました。
軽く運ぶ方法はないか?持ち手を持ちやすくしてみたら?もっと厚みを薄くする?・・などなど。
なかなかいい解決方法は出ません?・・・
色々考えるなか、ふと思いました。
「そもそも 今の家庭って5着も着物持ってんの・・・?」
現代の一般家庭において、着物を5着も10着も持ってる人なんて限られてるはずです。
おばあさんやおかあさんから受け継いだ着物があると言っても、3着くらいではなかろうか?と考え、3着用の衣装箱を作
ることに決まりました。
3着であれば、衣装箱に入っていてもラクラク持ち運べます。箱の高さも低くできるから、クローゼットや押し入れの上にもラクラクおける。
これで、「重い」という課題はクリアできそうです。
つぎは、着物の定期的なメンテナンスをやってもらうという課題解決方法を考えます。
そもそも・・・昨今の着物離れはどういったことが原因なのかを森本さんに伺ってみました。
森本さん
「非日常的なイベントや行事ごと以外はそもそも、着物を着る習慣がなくなったこと。そして、現代の人は着物を着た後に
きれいに畳みなおせない人が多い。畳めないから、めんどくさいから着物を着ようとしない。着ようとしないとほったら
かしてしまう。ほったらかすと着物はどんどん劣化がすすみ、結局は着れない状態になって手放してしまう」
とのことらしい・・・。
たしかに、きちんと手入れをしようと思っても、その方法を知らない結局 ほったらかしにしてしまうでしょう。
家族から譲り受けた着物をこんな理由でダメにしてしまうのは本当にもったいないですよね。
では、なぜ着物は劣化してしまうのでしょうか?これも、森本さんから教えて頂きました。
森本さん
「着物が劣化する原因は大きく3つある」
「1つめは水分 これは湿気や汗を残さないこと。
2つめは空気 これは通気性を良くしてあげることが大事
3つめは栄養 これは所謂 たんぱく質のこと。皮脂や汚れを除去してあげないといけない。」
「これらの要素をひとつでも完全に除去ができれば、理論上、着物が劣化することはありません。」
カビや虫食い、シミなどの劣化はこれらの要素が組み合わさって発生
すべてを完全に除去することは難しそうですが、半年に1度は着物を拡げて陰干ししたり、着用した後は汚れをしっかりと
取り除いてから保管することが大事とのこと。
では、桐の衣装箱でできることはなんだろう?
さすがに桐自体に着物の洗浄効果はないし・・・、
虫を寄せ付けないことはできるけど、一度出てきた虫を除く効果まではないしな〜とあれこれ考え
「箱のなかの通気性を良くしてあげる」ことをポイントにさらなる開発に励みました。
「田の字」の板を着物と着物のあいだに挟むことで、着物同士の接地面が少なくなり、通気性が向上します!
しかも、うれしいことに1番下の着物へかかる圧が分散されることでシワになりにくい効果も!
新しい衣装箱にオプションとして付属することを決め、いよいよ、今度は衣装箱自体の開発です!